あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

昨年の冬至に日記をつけたが投稿していなかったようだ。ゆず風呂に入ったとかかぼちゃを食べたとかそんなことを書いた。ゆずが体に沁みてささくれたところがちくちく痛むのを面白い体験と感じた。そんなところです。

そんなに時間が経っていないことを昨年と捉えるのにまだ抵抗がある。日付を跨いで前日となってしまったことをさすのに昨日という言葉を使うのを気持ち悪いと感じる、あの感覚がしばらく続きそうです。

 

一月四日の出来事

手土産のお使いに町の和菓子屋さんを訪ねたが、まだ正月休みで締まっているかと確認の電話をしたところ開店していたのでありがたく寄らせてもらった。大体いつも開いているのだが、店長が一人で切り盛りをしていて気分や体調によって不意打ちに閉まっていることもある。午後にお孫さんと初詣に行く用事があるとのことで、饅頭の包装をしてもらいながら孫自慢をふんふん聞く。八十を超えてもうそろそろお迎えが来るというお決まりの文句にまだまだですよと返して、おやつに購入するつもりだった苺大福をおまけでもらった。買いものをするといつもおまけをいただいている。店主からすると私の歳頃以下はおしなべて孫のような認識をしているんじゃないかな。昼食後に苺大福を食べた。酸味と甘みがいい塩梅で美味しい。

こんなこともあった。この店は硝子戸を開けると正面にカウンターと陳列ケースがあり、戸を開きっぱなしの作業部屋が横手に見える。夏にここの和菓子屋さんを訪れたとき、声をかけても返事がないので作業部屋に首をのばすと、あおむけになった足が見え、倒れているのではないかと狼狽えたが、なんのことはない、店主がござを引いて昼寝をしていたのだった。床のコンクリートのひんやりとした冷たさは確かに魅力的かもしれない。

夜、家の前の道を下っていく。街灯があまりないため月明かりと手元のタブレットの明かりに頼る。ヒールの高い靴で一日中立ち続けたように、足指の付け根の部分が歩くたび痛み、連動して頭痛もしていた。大きな道に合流したところで足の痛みが限界に達し、家の方角に引き返す。ふわふわとクッションのような緩衝材が右側に舗装されていてそこを歩くと痛みも和らぐが、10mほどで途切れているためそれから先はコンクリートをだましだまし進まなければならない。黒い犬がこちらに向かって歩いてくる。大きな犬だ。こちらにゆっくりと近づいてくる。よくよく見ると目が一つだけ顔の真ん中についていて、白目の部分が光っている。また、おもちゃみたいな黒い半透明の羽が背中に取りつけられ、昆虫のようなシルエットをしている。犬はこちらを通り過ぎ、なにかを見つけて遊んでいる。暗がりなのでよく見えない。害はないかと緩衝材を通り過ぎるとコンクリートの跳ね返った靴音に犬が気付き、距離を詰められた。どうやら顔にマスクをつけられているようで、一つ目なのもそのマスクの模様らしい。境目が分からないほど顔に被り物が密着している。恐ろしくなって手元のタブレットとなにか小さな箱を前方に投げる。落ちる音に反応し、犬がそちらに向かう。その様子を動けず見つめていると、道の前の角からクラシカルなメイド服を着た女が出てきた。ヒールの音がこつこつ響き、犬の意識がそちらに向く。近づいていく。先ほどから犬は吠えるどころか呼吸音さえ立てない。夜半で家々も静まりかえっている。狭まっていく距離に、女は無頓着なのか気づかないのか反応がない。痛む足をこらえゆっくりと進み、女とすれ違う。女と視線が合うことはなく、犬の一つの大きな目もどこを見ているのか定かでない。ついに犬が女性の真後ろに控えたのを横目にしたが、通り過ぎてからはもう振り向かないよう歩いた。どんな音が聞こえても振り向いてはいけない。

起きてスマホの画面を見ると8時31分で、始業は8時半からなので、もうすでに遅刻している。最近気持ちがだれているかもしれない。起き上がったが頭の回転は鈍く、惰性で服を着替えて歯を磨き、顔を洗って外に出る。開き直りそんなに慌てない。毎週水曜日は地域のあいさつ運動の日で、今朝は自分の当番だという顔をしておけば多少の遅刻は許されるのではないかとぼんやり考えながら車に乗り込み普段と逆の進行方向にハンドルを切る。田畑を視界の隅に流しながら国道に出ると、踏切に捕まってしまった。車のフロントに表示される時計の文字は8時40分に差し掛かろうとしていた。踏切は上がらず、時間は刻々と過ぎる。


そこで目が覚めた。時計を確認すると7時35分だった。
睡眠時間をもったいなく思いそのまま20分ほど二度寝したが、疲れ果てていてその後目覚ましを止めるのが億劫だった。

すっかり時間が経っていた。季節を一つ取りこぼした、もう冬ですね。夏からこの頃までの大きな出来事として無傷ではあるが車の事故にあったり、ひとつ歳を重ねたり、関東を旅行したりした。同じ時の中にあって世間も大きく動くため自分の動く速度が鈍いように感じるがどうだろう。旅行の部分も書きつけたいが、あったことの受け止め方で新鮮なまま保持している部分とおぼろげな部分とがあり、頭がえこひいきしている。その時その時に記録すべきだな。

 

最近はそこかしこに咲いている皇帝ダリアが目立っていて、開けた道や、川沿いや、隣家の脇を通りがかるのを楽しみにしていた。花びらも落ちてもう終わりかな。終わりに近づくと花びらの中心の紫が薄くなっていく気がする。あんまり一生懸命観察しているわけではないので正しい認識ではないかもしれない。

大根の葉が固くなって、炒めものによく入れるのだけど細かく切らないと中心の茎がガシガシしてきた。今年は葉物が高かったが、落ち着いたのでたくさん食べる。

 

 

 

家庭科の授業を受けているのだが、内容が延々とゲームの歴史ばかりなので居眠りしてしまい、頭に入らない。女性の教師にDS等でゲームした経験はあるのかと訊かれ、ないと答えると困り顔でテスト範囲だから頑張って暗記しなさいと言われる。友人に試験はどうするのか心配されたが、中間期末考査で家庭科やその他副教科の事前勉強をしたことがなく、それでも赤点取ったことないのでどうにかなるだろう。高校生の時は当日の朝に試験範囲を知るくらいだった。うららかな陽気の中にあって、意識が保てず教室の前列で眠りこけている。子供の頃、もう少しいろいろなことに興味をもてばよかったと、少しだけ後悔しながら授業は進む。

 

車の中で二人寝っ転がっていた。地震があったらしく、けたたましいサイレンが鳴り響き体をびくつかせて周りの様子を見る。駐車しているのは山々に挟まれた開けた場所で、看板で大きく「この先観光地」という文字が設置されている。この場にとどまるか、どうしようか思案し、移動することにする。車のリアガラスにはメモリがあり、どうやらそのメモリまで火山灰や土砂が降り積もるともう内側からは出られないらしい、今回は火山が噴火する気配がなくそこまで警戒せずに済んだ。町に移動すると入り組んだ坂道に所狭しと店が並んでいて、車を置いて買い物することにした。カンダという土地だ。気に入った服があり、でも自分で着るにはいささかデザインが奇抜なので女に着せることにする。

自治体のプールから帰ると、猫が塩素の匂いに興奮して常になくひっついてきた。自分の履いてた靴に頭突っ込んでかき抱いてる姿なかなか複雑だな、そんなににおうのか…。しばらく玄関で転がっていた。その様子の動画を取ったので時々見返すことにする。

ワセリンの匂いにも猫は反応するのだけど、ずっと水に浸かると水分持っていかれるので対策に手に白色ワセリン塗っていて、塩素と相まったか頭付近を撫でるとがぶがぶやられた。甘噛み少し本気くらいの力が入っているので少しだけ痛い。顎の力が弱い個体のようで痕がつくまではなく、もっと噛んでほしくて口元に手を持っていく。こちらからすると嫌そうに噛まれる。それにしてもワセリンって全然匂いがしないと思うんだけど、猫の嗅覚だと確かににおいを感じるらしい。どこにそんな魅力を感じるんだろう、またたびの成分と何かしらが似ているのかな。以前またたびの粉を買い与えてみたときには見向きもしなかったが。色々好みがあるらしい。

水着等入った袋にも頭を突っ込みだして、動かそうとすると爪を立てて抗議してくるので諦めて廊下に放置したまま風呂に入った。風呂から出ると満足したのか畳に寝っ転がっていて、撫でたがにおいがもう取れてしまっていてうるさそうに頭を動かすだけだった。

 

自販機にエネルゲンというオレンジ色したスポーツドリンクが売っていて、おお噂は聞いてたが初めて見たぞとポカリスエット飲んだばかりだがつい買ってしまった。味はポカリより若干薄いように感じる。喉が渇いていたのであまり比較せず飲み干してしまった。体育施設の自販機ってスポーツドリンクの項目多いけれどエネルゲンは一つだけだったな、影が薄いのか。

春から気がかりだったことが解決してほっとしている。

 

煎りたてピーナツせんというせんべいを食べる。賞味期限ぎりぎり2日ほど切れていて、せっかく煎りたてを謳っているのに売りを裏切ったようで申し訳ない。

 

こうも暑い日が続くと参ってしまいそうになるが、酷暑でも割と元気に過ごせてしまう。ぬるぬるした食べ物がおいしい季節です。オクラやもずく、長芋にツルムラサキ等々毎日食べたい。ツルムラサキって昔は埃そのものの味だった。口に入れた瞬間物凄い顔になったのを覚えている。今は品種改良されたのか緑の葉のやつは埃を感じない。いいことだ。

以前よく花オクラが食卓に上がったが、何年か栽培していない。とりたてて味がするというわけではなく、むしろ若干の青味がかったぬるつきに調味料の味しかしないのだがあれは花を食べるということそのものが面白い。

 

日中空調の効いた場所にいるので、夏真っ盛りだが年間通して長袖を着ている。暑いときは腕まくりするのだが、たまに今日は暑いしいいだろと思って半袖一枚で過ごそうとするとこれが結構寒い。冷風がノーガードの腕に直当たりしてくる。これはいかんと常備してあるストールを羽織る、段々暑くなってくる。
このストールがうちの猫と同じような色で構成されていて、冬に羽織って一緒に過ごしてたものだから猫の毛まとわりついている。普段目立たないが色の濃い服の上で着用していると大体すごいことになる。今日もすごいことになりました。
便利でひざ掛け等使いまわせるからと何枚か持っているが目を離すと猫の寝床にされてしまい、コロコロかけても洗濯してもなかなか全部落ちません。

維管束
スイカの季節が来た。まだ完全に熟してはいないがそこそこおいしい。スイカを縦模様と垂直に切ると、中心から皮にかけてくるっとした模様が現れる。小さい頃食べたスイカにはそんな模様なかったように思えて、調べてみるとあれ維管束のようです。昔はスイカの赤さだけに目が行っていたようだ。維管束というと、理科の教科書に載っていたモノクロの図を思い出す。大体ホウセンカととうもろこしがセットになっているあれ。道管とか師管とか久しく使っておらず、日常で使う場所もない言葉だ。目にしてきた維管束はせいぜいとうもろこしレベルであるのに、こんな巨大なものにも維管束という言葉が当てはまる。言葉に実感が伴ってくる。

 

ふりかけについて
旅行の友というふりかけがある。あった。6種類くらい味があって、駄菓子屋によくあるきな粉棒やスルメ棒の容器のような透明プラスチックの入れ物に小袋ががっぽり入っていたのを誰が買ってくるのか昔は常備されていた。たらこと海苔とさけ味は割合好んでいた。でも旅行の友味はなんとなく好かんかったな、いつまでも容器に残っていた。他のはきちんと名前から味が連想されるのに、旅行の友味だけはなにやらパッケージの子供が笑いかけてくるばかりで正体不明だった。それが印象悪かったのかもしれない。味そのものは覚えていない。
でも考えてみると他の味も謎だ。特に卵味。いちご味のかき氷シロップのように、色や固定された甘味しょっぱみでそういうものだと受け入れるものの、のりたま味を食べて、海苔はいいが黄色いやつを卵と断定できるだろうか。原材料に卵が含まれるにしてもだ。自分の体のいい加減なところを上手いことつつかれているような気持ちになる。
今日の昼ごはんでものりたまをかけて食べた。大変おいしいです。

 

股関節
足の付け根の調子が悪いので病院に行く。医師の口ぶりからするとそんなに状態悪くない。レントゲンを見ながらどこどこの骨もしくは筋肉の何かが云々の状態と説明あったが診察室を出た時点でもう忘れてしまった。湿布と痛み止めを処方してもらい、様子を見る。このところ急に運動したからでしょう。
月曜にも別の病院にかかったが、病院というものは本当に待ち時間が長い。病院のドアをくぐる前と処方箋を受け取った後とでは、明確に後のほうがぐったりしている。

沖縄を旅行してきた。もうこれ結構過去のことになってきているな。

・乗り物
空港近くからレンタカーで移動したので、普段羽を伸ばす旅行に比べれば格段に足腰が楽で時間を考えなくていいのが快適だった。
到着してさっそく沖縄だなあと感じたのは車のナンバープレートが米軍関係車両を表す「Y」、レンタカーを表す「れ、わ」だらけで、まれに「A」ともすれ違った。「E」もあるらしい。こちらはすれ違わなかった。

そういえば鉄道見なかった。調べてみたら走っていないらしい。全く電車がないというのは不思議だな。モノレールはあるのだが、モノレールのほうが宙に路線を渡しているので台風等天候に弱いような気もするが。

 

・食べ物
あれやこれやせっかくだからと本土では食べられないものばかり食べていたな。
コンビニも飲み物を購入するためちょくちょく立ち寄ったが、セブンイレブンは1件もなくて、ファミマゾーンとローソンゾーンが交互に入れ替わる様子だった。ファミマの卵焼きとランチョンミートがサンドしてあるチキナーおにぎりや、通常のものの2倍ほどの長さのある細海苔巻、やたらサイズの大きいパンなどを買って食べた。ローソンも立ち寄ったが、最初入ったコンビニのそれらしいおにぎりは珍しがって購入できたものの、大きい通りを外れた店舗はどもこれといったものがなく、肩透かしを食らった気持ちだ。
全国一律で展開される中で、気軽に差異を楽しめるというのがコンビニの良いところだな。赤い白字の看板で、ココストアというコンビニも見かけたが寄らなかった。珍しいものがあったかもしれない、もったいないことをした。

昼食や夕食に、沖縄そばやソーミンチャンプルー、ハンバーガー等々を食べた。一番おいしかったのは海沿いの食堂の一つ60円のもずくの天ぷらと魚のフライだった。もずく天は、アクセントにニラや人参が入っていてそれがしっかり味つけられてカラリ揚がっている。国際通りの飲み屋でももずくの天ぷらを頼んだが何か違う。もう一度あの土地に行くことがあれば必ずあの食堂を訪ねたい。

台湾で食べておいしかったレンブをもう一度食べたかったが美ら海近辺にあるフルーツランドでしか手に入らないようで、こちらは諦めた。こちらも、いつかまた南に行くことがあれば探そう。

 

・景色
やはり南国を感じさせる植物で覆われていた。ずっと晴れ晴れとしていたのもあって緑が濃くあったように思う。紫のノアサガオが道々の壁を一面占拠しているのをどこ行っても見かけた。

たくさん写真を撮った。何かに使えたらいいな。

 

・ダイビング

体験ダイビングに予約なしで参加した。連休だったが意外と当日になんとかなるものだ。

人の縁とは不思議なもので、小学校の後輩がインストラクターになっていた。最初名前を呼ばれたもののそれがその人と分からず、名字を聞いて連想される名前に辿り着いた。髪も肌も日に焼けて、なにより表情の作り方が記憶にあるその人とずいぶん変わっていて帰宅した今でもあまり結びついていない。遠く海を隔てた土地に以前近い距離にいた人と再会するというのはそんなにない経験じゃあないか。班が分かれていたので海の中のその人は知らない。

地上では重いはずのボンベをつけ潜った。体が水の抵抗で自由に動けないのに重さは感じない。海の中で自由に呼吸ができることの楽しさと、なによりこの呼吸を繋ぐ線が切れてしまうかもしれないという心もとなさが混ざって興奮する。空気を取り込む音、ドキュメント映像なんぞでよく聞くが全身で体験できたのが嬉しい。口呼吸をするので口が渇く。事前の講習で、耳抜きの仕方の候補に唾を飲み込む方法を教えてもらったが飲み込む唾がなかった。水中にいて口の中に水を感じない、変な感じです。

水中の景色そのものよりも水中にいる人間ということを強く意識した。終わって陸に降り立った時、重力の凄まじさをひしひしと感じる。階段で息が上がる。海って宇宙だな。

ライセンスを取得するのもいいかもしれない。

 


道中で、そこかしこに笑いの種があったのだが、突発的な笑いというのは言語化しづらい。その場を共有していた人と振り返ってあれは面白かったねと語る言葉はあっても、他の人に同じ感情を表すのに適切な言葉がなくて、そういうものが思い出となる。記憶を取りこぼすことも多く、その時の面白かった空気は思い出せるものの具体的に何をやっていたのがさっぱり忘れてしまうこともある。不思議とそういうのはお互い同じように忘れてしまうものでなんだったかなと消化不良な気持ちだけが残る。

すっかりさぼっていた。

 

覚書

○ものの授与を表わす動詞

 あげる(やる)、くれる その他:与える、渡す、授ける、授与する 等

○ものの収受を表わす動詞

 もらう その他:受ける、受け取る 等

 

①「与える」

 「与える」はものの授与を表わす。中立的な言葉として使用することができ、恩恵的な意味をとらない。個人的であるというニュアンスであれば、「あげる、くれる」がより自然。また、権限を持っていたり公的な立場であるという意味を含む。

例:相手に損害を あげた(×) 与えた(○)

 無情名詞が主語になり、抽象的な影響を与えることを表わすことができる。

例:この映画は子供に悪い影響を与えるかもしれません。

 

②あげる/やる・くれる・もらう

・あげる/やる ~てあげる/~てやる

自分のところから離れる。動作の行い手が主語になる。

(私は)彼に本をあげました。

(私は)本を彼にあげました。

先生は生徒に参考書をあげました。

子供が父親に料理を作ってあげました。

 

・くれる ~てくれる

自分のところに来る。動作の行い手が主語に来る。

彼は(私に)本をくれました(○)

(私は)彼に本をくれました。(×)

 

・もらう ~てもらう

動作の受け手が主語になる。

(私は)彼に本をもらいました。

彼は私に本をもらいました。 ”私の”本→彼への移動

彼は先生に勉強を教えてもらいました。

 

参考

庵功雄、中西久実子、高梨信乃、山田敏弘、白川博之「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」スリーエーネットワーク、2001

屋根裏に動物が住みついて、騒音に困っていたので屋根を開けることにした。畳の間に脚立を置き、祖父が屋根を切り開いていく。雀やねずみや、小さなものが天井の梁に見え隠れしているその中に、ひときわ大きく美しい姿があり、目を凝らしてみれば孔雀だった。頭部と体側は水色に近い青に艶めいて、暗闇から降り立つといっそう優雅に光を受けていた。廊下を辿り、祖父母の部屋まで歩いていく。祖母は部屋で掃除をしていて、窓が開いているのを閉じるよう言い、襖も閉めてカメラを取りに行く。

遅刻しそうなしなさそうな微妙な時間に目が覚めて、もう0限はこのまま欠席しようかと思っているのに着替えの手は止まらない。確か月曜日は3限に外で体育があった、体操着も忘れてしまえば見学できるので、覚えていないことにしようか。目の前の箪笥には緑色のハーパンが見えているけれど。つらつら考える。

目覚めの直前がそんな夢であったから、自分の年齢や時間やこれから行かなければならない場所や、いろいろなものに混乱した。


比較的近所にあるショッピングセンターの、子供のおもちゃや文具を販売しているコーナーにアンパンマンのポップコーンメーカーがあった。今もあるのかな。唐突にあの声で「出来立てのポップコーンはいかが?」に類する言葉を発してくるものだから近場を通りがかって油断していると驚く。あの機械にはハンドルがついていて、トウモロコシを加熱している最中に、やけに軽快なアンパンマンの声を聞きながらぐるぐる回してポップコーンを作るのだけど、あれって当時も思ったが回さなくてもポップコーンはちゃんとできるのかもしれない。2、3回しか買った記憶はないが、アンパンマンの声に励まされて手ごたえないながらも毎度律儀に回していたな。不発に終わるトウモロコシの粒が一定数容器の下にたまるものだから、ハンドルを回さなければもっとあの固い粒が残るかもしれない、そう思うと回さないではいられなかった。
真偽のほどは調べていない。おそらくなにもせずとも出来上がるのだろう。釈然としない気持ちになる。

兄と連れだって兄弟で旅に出る。豪奢なホテルに荷物をたくさん持ち込んで、ひととおり遊びまわる。緑色のりんごを持つ兄はこれをみんなに見つかってはいけないと言い含め、一方で大麻を勧めてくる。神経質で、いつも周囲に気を張っていて、弟を指導してくれるやさしい兄だ。これを断り散歩に出ていたら一人の警察官に会い、薬も何も持っていない弟はにこやかに立ち話をする。

きっかけは分からない、金が尽きたのかもしれない。立ち去らなければならなくなり、部屋に散らばる膨大な荷物を整理し、そのほとんどが旅行のパンフレットや関連雑誌であったのを、ゴミ箱に放り投げていく。古めかしい車でほとんど何も持たず、舗装の悪い道を上っていく。また大麻を勧められた。兄の目は濁っていた。受け取り、吸い込もうとしたところで道の先で二人の警察官が所持品検査をしているのが見えた。今止まっている車の次はこちらの番だ。車内までは見ないだろうと車から降りたものの、何かに気付いた様子の警察官が車内を捜索しだす、のを兄が止めようとしていた。シートの下にりんごがあって、それを隠そうと兄がこちらに差し出してくる。受け取り、服に潜り込ませるが、布の間から覗いているのを見とがめられる。もう誤魔化せず揉み合ってのち発砲される。その時に警察官の顔が以前会ったことのある人だと気づいた。いつのまにか空間は水に満ちていて、流されるままもうすぐ死ぬのだとわかる。りんごは道から滑り落ち、崖下の泉に落ちた。なんでかその泉にはダーツのように点数がついていて、落ちたところは3点だった。

自宅前の空き地、昔井戸があったところは草が生い茂っている。誰かが箱を開けて2匹の猫(犬だったかもしれない)を差し出す。敷き詰められた綿の上の猫は、ジンジャークッキーのような、出来そこないのフェルトのぬいぐるみのような、茶色く平べったい様相で、目も口も鼻も何もない。1匹はかろうじて手足のぶんの長さがあるものの、もう1匹はもっとひしゃげている。もはや生きているのかそもそも生物なのかもわからないが、誰かはこれを中国で買って保護してきたのだと言う。掌に乗せてみると、心臓の鼓動する感触が伝わってくる。確かに生きている。

それ以前と以降を忘れてしまった。